[レポート]24/10/26(土)藤野プレーパーク@石井農園の環境再生

2023年10月より始まった佐野川地区・石井農園での里山再生プロジェクト。

今回はその4回目として、これまで整備してきた場所の現状確認とメンテナンスを行いました。

斜面変換線の水脈メンテナンス

まず、2024年1月に整備した斜面変換線の水脈の状態を確認しました。

夏場に刈った草で水脈を覆ってしまい、地中の水と空気を動かす機能を果たしていない部分が散見されました。

そのため、草を取り除き、一度竹や枝といった資材を取り除き、水脈のラインと点穴を掘り直し・作り直しました。

水脈のメンテナンス作業中

これで、斜面変換線に溜まりがちな水と空気が適切に抜け、斜面と平地の植生が改善していくと思われます。

斜面全体の草はすべてを刈り取らず、風の通り道を確保するように一部のみ刈りました。

斜面には人が通れる幅で刈り込んで風の通り道を作っています

こうすることで、斜面が乾燥しすぎず、翌年には環境に適した植生が育つようになる見込みです。

斜面変換線の水脈整備と斜面の風通し作業を終えたあと

作業を終えた後、現場にいた参加者からは「風が通ってすっきりした感じがする」という声が上がり、目に見える変化だけでなく、場の空気の変化も体感してもらえました。

小川のメンテナンス

次に、昨年10月に整備した小川の様子を確認しました。

植物は、水分や空気が豊富な場所に根を伸ばす性質があるため、草が小川を覆いかぶさるように成長しており、これにより小川の風通しが悪くなっていました。

小川と法面を中心に、伸びすぎたところをノコギリ鎌で刈り、風通しを良くすることで小川に清流が保たれ、周囲の湿度や植生が整いやすくなりました。

イチジク畑の状態観察

続いて、イチジク畑の観察に向かいました。畑の主の方から「今年は収穫量が少なく、原因を探ってほしい」との依頼があり、畑とその周辺を確認してみました。

イチジク畑の土の状態を参加者で観察してみました

観察したところ、畑の中は、よく人が歩く場所が踏み固められ、水や空気が土中に浸透しにくい状態でした。

そのため、三角ホーや移植ゴテで小さな点穴を開け、水と空気が土中に行き渡るように調整を行いました。

また、畑のある斜面の下には沢があり、その法面には、これまでの伐採で生じた枝や草が積み重なって放置されていました。

写真の右手前に伐採枝や草の堆積が置かれていました

夏の間にこれらが成長した草や蔓で覆われ、沢と畑を繋ぐ風通しや、地中の水脈に滞りが起きているようです。

これにより、イチジクの根に十分な水と空気が行き届かず、健康な生育が阻害されている可能性が考えられました。

社のある丘と環境の考察

沢の対岸の丘には、五穀豊穣、子孫繁栄を願う社があり、かつては鎮守の杜として地元の大切な存在であったと思われます。

画像奥に見えるのがイチジク畑

以前は直径40cmから1mの大木が何本も立ち並び、地中に深く根を伸ばし、地下水脈と通じて水や空気の循環を担っていましたが、すべて伐採されてしまい、その循環機能が失われています。

丘、沢、イチジク畑の水脈が地中で連動しているため、丘の循環機能がなくなったことで、沢、対岸(イチジク畑)の地中の水と空気の循環に分断や滞留が発生し、イチジクの根が十分に水と空気を得られず、生育に影響を及ぼしていると考えられます。

社のまわりの大木は全て伐採され、全体的に乾燥して表土が崩れ落ちていました

この仮説に基づいて環境再生を進めていく場合、この丘の整備には地元自治会や氏子さんとの調整が必要になります。

直接の対話を通して、過去の経緯や現状、課題や要望などを伺い、対策を検討していければと思います。

まずは沢や法面の風通しを改善し、沢の詰まりを解消し、イチジクの健康な生育につながる土台を整えることを当面の目標としていくのが現実的と思われます。

次回以降の作業日が決まりましたら、WEBサイトやSNSにてお知らせします。

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