【レポート】12月18日㈯ 森の再生活動 12月講座

今年(2021年)2月からスタートした『CoToLiの森プロジェクト』のラスト回。朝の気温が0度近くまで冷え込んだ土曜日でしたが、天気は快晴に恵まれ、予定通り9時から『小さなシャベルでできる 森の再生活動 12月講座』が開催されました。

フィールドワーク

参加者が全員集まるまで少し時間があったため、カラダを暖めることも兼ねて、CoToLiの森の近くにお住まいの参加者さんの庭でフィールドワーク。

川沿いの一部が崩れていっており、どう対処すれば良いのかを検討。

周辺を歩いて回りながら、崩れている部分へどのように水が流れているのかを見極め。山の斜面と地面の境、高木の周辺などに点穴を掘り、水が縦に浸透していく部分を作ることで、水が崩れている部分へ強く引っ張られていくことを抑えていくことができるとのことでした。

座学

参加者が全員揃ったところで、お互いに自己紹介を行い、大地の再生 関東甲信越の藤井麻紀子さんから『大地の再生』の考え方や手法を学びました。

多様性のない森は地面も多様性がなく、樹木や草が根を張らないので、地面が乾燥している。

『良い森』には、適度な湿度があり。冷たいけど、少し暖かい感じを、森に入ると感じるそう。

逆に地面が乾燥している森は、そこに入っても乾いた感触を受けるようです。

水を蓄えられる森にするには、「大地(地面)と石(岩)と川(水脈)がちゃんと呼吸できている状態」にすることが必要。

呼吸ができていないと、地面に落ちた枯れ葉や枯れ枝が大地に吸い付かず風に飛ばされ、地面がむき出しになるため、雨が降ったときに泥が地表を流れ、地面を覆ってしまう。これにより、ますます呼吸のできない状態になってしまいます。

そこで、大地の再生の手法を用いて点穴や水脈を作っていくと、水と空気の循環が始まり、地面の中の微生物が復活していきます。

呼吸が戻ると、岩には苔が生え、地面には草が生え、地下に細かい水脈ができていき、樹木が根を張っていく。

根を張ることで地面はたくさんの雨水を吸収し、蓄えるようになるので、雨が泥水となって流れ落ちることも減り、豪雨による地滑りも抑制できるようになる。

これは山や森に限った話ではなく、自宅周辺でも実践できることで、コンクリートや人の往来で固められてしまった地面に点穴や水脈を作ることで水や空気の抜け道ができ、草木が生えることで適度な湿度、空気が生まれ、さらに地面を支えてくれるようになります。

道具はシャベルひとつあれば良し。資材は周りにある枝木や落ち葉、そして炭があれば良し。

強い力、大きな力を使わなくても、誰でもできる力の程度で、できる範囲の時間でコツコツと進めることができる、環境改善、大地の再生。

CoToLiの森プロジェクトにおいて、伝え続けてきたメッセージです。

水脈と点穴のメンテナンス

座学のあとは今まで作ってきた水脈と点穴のメンテナンスを行いました。

泥で詰まってしまったところをもう1度掘り返して、枝木と枯れ葉を入れ直す作業。

ツルハシで表層15cmくらいの溝を掘っていきます。

水脈の途中(数m間隔で)に点穴を。

人が通って踏み固められてしまう地面には、マイナスドライバーなど細長い工具を使って地中に穴を開け、薫炭と稲藁を入れる。

薫炭は保水力があるので、乾燥した場所で水分を蓄える役割を担い、稲藁は菌糸の発酵を促進してくれます。

階段のメンテナンス

枝木による土留めの階段が緩んでいたので、補修。

段切りして、焼き杭を打ち込んで、枝木と落ち葉を柵ませながら詰めていきます。

枝木と落ち葉のミルフィーユ階段になりました。

谷を開く

長年の雨で流されてきた岩や樹木で詰まっていた森の沢の整備にも着手。

チェーンソーも使いながら、枝木を切り払い、移動させたりしながら、沢に風が通るようにしていきました。

みんなで作業することでどんどん進み、あっという間に沢の下から上まで目通しができました。見た目に水は流れていませんが、きっと地中に水脈が流れているはず。谷を通すと水が通るので、これにより沢に水が戻るかもという期待に胸を膨らますひと時に。

「手作業は、手作業した分の反動しかこないところが良いところ。重機を使うと、そのパワーをかけた倍の力で反動が出るので、沢の整備に関しては”わかってる人”がやらないと危ない。ただ、谷を通すと水が通るので、沢の整備は手作業レベルであれば、やっていった方が良い。(講師の藤井さん)」とのことです。

ナラ枯れが起こる仕組みを学ぶ

15時過ぎに作業を終え、片付けたあとに改めて座学を少し。『ナラ枯れが起こるメカニズムと、ナラ枯れを防ぐための健全な山・森の作り方』について、大地の再生視点の講義を行なっていただきました。

昔は「沢の出口と尾根筋は(山の機能が落ちるから)人がいじってはいけない、触ってはいけない。」と言われていたそう。

今は送電線が立てられていたりと、綺麗な尾根筋ではなく、ガチャガチャした状態。

河川と山の斜面にはコンクリートが敷かれ、大地が呼吸できなくなっていくことで山全体の水分がなくなり、楢木が十分な水分を吸い込めなくなるので樹液が減り、ムシの侵入を許してしまう。

このプロセスを止めるために、点穴や水脈を施して大地が呼吸をしやすい状態を作っていくことが必要。

「自分一人だけではできない、やれない。だけど、やれる人同士が繋がっていくことで、できるようになる。チームや個人単位の繋がりを大事に、他のチームや個人が行なっている現場をお互いに回っていくことで、学びになるし、活動を継続していくことに繋がる。」と、講師の藤井さんからメッセージをいただき、2021年2月から毎月行なってきたCoToLiの森プロジェクトは一旦終了となりました。

その他

とにかく寒かったので、焚き火を囲んでのランチ、休憩。

スウェーデントーチが活躍しました。

焼き杭も当日作り、当日の作業で使いました。

お知らせ

CoToLiの森での活動は2022年も継続していく予定です。来年の内容については『チーム森守』さん主導で計画し、詳細がまとまり次第お知らせいたしますので、Facebookアカウントをお持ちの方はこちらの『チーム森守』グループページにご参加ください。

また、2022年初頭より藤野での大地の再生もスタート予定です。『森のイノベーションラボFUJINO』の『森の再生プロジェクト』と連携して展開していくことになると思いますので、こちらも詳細まとまり次第WEBサイトやSNSにてお知らせいたします。

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