[レポート] 3月6日(日) 風の森学び舎〜風と水の流れる森づくり 3月講座

小さなシャベルで誰でもできる森の再生活動、藤野フィールド編としてスタートしました『風の森学び舎〜風と水の流れる森づくり』の第1回講座が2022年3月6日(日)に開催されました。

若干風が強い中でしたが、日差しに恵まれて暖かさを感じながらの1日となりました。

レポートをまとめましたのでご覧ください。

座学:水と空気の流れで考える

自己紹介のあと、日なたに移動して、講師の藤井麻紀子さん(大地の再生 関東甲信越)による座学。

>>大地の再生 関東甲信越の詳細はこちら↓

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屋外向けに紙芝居方式のスライドをご準備いただき、この森周辺の地形図から水との関係性を考えたり、ナラ枯れの起きる仕組みを、水と空気の循環の視点からお話しいただきました。

里山の整備で自分なりの答えを見つけるときは、「山に入った瞬間の感覚や匂い」を大事にしてほしいとのこと。

最近の山は、大きな沢筋や谷間の場所で、水や空気の流れが不自然な動きをしているところが多いようです。

人間で言う血管が詰まるように、山は水が遮断されると、血行不良が起きて地面が硬くなっていきます。

水の世界で生きている限り、水の状態が健全でないところでは不自然なことが起きているもの。

実際に、水が溜まっている場所では、『滞り、暗い、澱む、腐っている』といった感覚を体で感じることができるので、山で整備を行うときは頭で考えるのではなく、自分の五感に意識を向けていってほしいとのことでした。

ナラ枯れの起こる仕組みを、水と空気の循環の視点から解説いただきました。

コンクリートの施工は必要だが、使い過ぎてしまうと、コンクリートで覆われている地面が腐ってしまい、水や空気の循環が止まってしまう。

循環が止まると地面が固まり、木の根が入らなくなるため、木はなんとか生きようとするために表層で根を張ろうとする。これが『根上がり』という症状で、木の根が地面から迫り出した状態になります。

また、道路を作ったりすることで地面にコンクリートが刺さることで、地面の中、深いところにある水脈が分断されてしまい、深層で水が溜まっている状態にもなっているとのこと。

正常な状態で水が流れていないので、表層(山の表面)も乾いていくようです。

今、山ではこのような滞りによる症状が起きていますが、水と空気を循環させていくことで滞り(詰まり)が取れ、本来の健康な状態に戻していくことができる。

これを、人の手作業で、小さな活動の積み重ねで実現していくことができる。

その手法や考え方を学び、作業と、作業後の山の変化を体験しながら、さらに学びを深めていくのがこの活動となります。

支流の整備

今日の講座は、沢へ流れ込んでいく『支流』の整備を行いました。

この支流が、土や枝木で埋まっていたため、主に剣スコップを使って掘り起こし。

『土の中のガスを抜くように掘る』のがポイントです。

水の通り道(溝)を掘りつつ、数メートル間隔で点穴を作っていきました。

支流をひととおり整備したあとは、その溝や点穴に手を入れて「風の流れの変化を感じる」。

座学でも説明がありましたが、この整備で大切なのは「五感で変化を感じながら進める」ことです。

最後に、炭を入れ、さらに木や笹を軽く入れて、地面が崩れて詰まってしまうことを防ぐ処置を行いました。

自然の力を利用したトイレ作り

このフィールドは付近にトイレがないため、今後の作業者の利便性を考え、簡易的なトイレを作ることにしました。

運営メンバーが前日に「そういえばトイレがない」ということに気づき、講師の藤井さんが夜なべをして、トイレ作りのアイデアを持ってきてくれました^^;

トイレは、今回整備した支流の上に設置することに。

沢へ流れ込む手前のところに深めの点穴を開け、段切りしたあと、石積みや柵を入れて足場を作っていきます。

水の流れ、微生物の力を利用した天然トイレです。

掘り起こした土は、支流の両側へ積みながら、あいだに薫炭、炭、落ち葉を層のようにしていれながら土のミルフィーユを作る。

こうすることで、土が固まらずに、空気と水が循環して植物が生えるようになるとのこと。

トイレのほうはこのままだと丸見えなので、竹でティピを作り、笹で覆いをすることにみんなでトライ。

紐の結び方から練習しました。

大人が入れるサイズ感に調整し、どうやったら笹で覆いが作れるのかを、みんなでアイデアを出し合い、試しては変え、試しては変えて作り上げていきます。

そして、完成。

風で覆いが飛んでしまう可能性もあるので、今後の作業で補修や補強を行い、使い心地の良いものにしていきたいと思います。

前月に作業した場所の変化

前月(2月13日)に行った作業場所に、少し変化がありました。

>>2022年2月13日のフィールドワーク、作業内容の詳細はこちら↓

斜面境界線の部分に、水と空気を抜くための水脈や点穴を作ったところに、水が溜まっていました。

これにより周辺にどんな変化が起きているのか、感じることはできませんでしたが、今まで見えなかった水の存在がそこにあったという事実は認識できました。

「この山は、(ひとつふたつの作業をやったくらいで)そんなすぐには変わっていかない。継続していくことが必要。」

と、藤井さんが言っていた通り、コツコツ何年も続けていけるようにしていくことが大切です。

ここを、これからどうしていくとよいのか?

今後の作業で検討していきたいと思います。

次回の予定

ご参加いただいた皆さま、一様に作業を楽しんでいただけたようです。

また、それぞれが学びや気づきを持ち帰っていただけたように感じています。

4月は、参加者で作業をしながら学びを深める作業DAYを予定しています。

講座形式のものは5月予定となりますので、いずれも日にちや内容が決まりましたらお知らせします!

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