好天に恵まれ、植物道楽研究所の池竹さん・行平さんによる『山の植物観察』と『森の作業DAY』を開催しました。
山を歩いて植生を観察
池竹さんと行平さんのお二人は以前からこの山で植物の観察会を行なっており、今回は森の作業とのコラボ。
ナラ枯れが千葉で2、3年前に始まり、昨年は八王子や日野に初めて来た。
藤野においては弁天橋、日連大橋、勝瀬橋までナラ枯れが来ている。今年中にはここ(森の作業現場)まで来ると言われている。
『土中の空気と水の循環』の観点で山の環境整備を行った場所が、ナラ枯れが押し寄せた時にどうなるのか?整備をした、してない場所で違いが見れたら面白いと思っている。
また、ナラ枯れに関係なく、長期的に見た時に山の状態(と植生)が改善していく過程を観察していきたい。
池竹さん
この作業場では、ここ数年、間伐をして植生の回復を進めて来られたそうですが、「光が当たるようになるだけでは、スギとヒノキの山の回復は難しそう」と感じていらっしゃったよう。
「土中の改善とセットでやるのが良いのではないか?」と考えるようになり、この森の作業を通してその仮説を検証していきたいとお考えです。
今の時期は、植物のパワーが一番ある。5月5日は薬草を狩る日として『薬日(くすりび)』とも言われている。
この作業場の近くには『鷹取山』があり、徐福伝説がある場所。
そして、ひと山越えた向こう側には『大日野原』という縄文遺跡が出土した場所があり、縄文時代から人が行き来していた場所。
人と植物の文化と歴史に触れていきたい。
行平さん
お二人の楽しいトークの掛け合いが場の明るい雰囲気を作り、午前中はゆっくりと山を歩きながら植物の観察をし、荒れた場所の整備を行うことにしました。
道中、池竹さんからは山に生えているさまざまな植物の名前や特徴を説明いただきました。
この山は植生が豊富で、他の山と比べてシカの食害が出ていないとのこと。
ただ、山の上の方では植物が食べられている割合が多いようです。
食べられる植物によく似た毒草もいくつか紹介いただきました。
毒草を食べて亡くなる方が年間60人くらいいるようなので、いずれ『毒草観察会』も開くと良さそうだねといったアイデアも。
キクラゲをいたるところで発見。
欅の木が倒れたときに生えてくるそう。前日までの雨のおかげでプリプリな状態になっていました。
国産のイタヤカエデもあり。樹液の糖度がとても高い植物だそう。
「水脈を整備することで、これらの樹木にも変化が出てくるのかも見ていきたい(池竹さん)」とのことでした。
山道の整備と広場の既存物整理
ひと山登ったあたりにナラの木が多く生えている場所がありました。
登山道として人の往来で地面が踏み固められ、雨が降ると土を削りながら下流へと流れていってしまう場所が散見されたので、点穴で土中の空気を抜く&水の縦浸透を促す作業を実施。
今までの講座で学んだことを、復習を兼ねてみなで教え合いながらしばらく作業。
数十分の作業でしたが、森の観察を忘れているのではないかと思われるほど作業に没頭する一面もありました。笑
作業場(広場)に戻ったあとは、地面を覆うように積まれている伐採枝の整理に着手。
スギ、ヒノキの枝木、枝葉をいくつかの場所に分散して積み直し。
これらは今後、土留めや点穴を作るときに用います。
1時間半ほどの作業で3分の1くらいの量を整理することができました。
地面が表に出てきたので、5月の講座までの数週間で小さな変化があるのかどうか、確認してみたいと思います。
3月の講座で作ったトイレの補修も行いました。
引き続き笹を用いて目隠しにしたのですが、木の蔓を通してカバーが取れないようにする工夫が施されるなど、より良い状態に仕上がりました。
次回以降の作業でも参加者同士でアイデアを出し合いながら改修を進めていきます。
森をどんな風にしたい?
山歩きを終え、広場でランチ休憩を取りながら「この森をどんな風にしたい?どんなことをやりたい?」アイデア出しをしました。
- 山に生えている野草を使った料理を作りたい(森の料理教室)
- 縄文鍋もいいよね!
- ハンモックがあると作業以外の楽しみができそう
- 小屋を作れば雨の日でも休めたり座学ができる
- 道具置き場も作ると作業効率上がりそう
- いずれは溜池復活させたいよね!
- 毎回山歩きをして、山道の整備をしていくのも有用では
- 作業に限定せず、森で遊びたい人は遊んでもらう、作業したい人は作業といった感じもよいかも
といったものが挙がってきたので、今後取り入れていきたいと思います。
今後の予定
2022年5月14日(土)に講座を開催します。
6月中旬から下旬には、作業DAYを開催予定です。詳細が決まり次第お知らせします!