10月12日(土)、小渕の山にて環境再生のためのビオトープ作りを行いました。
この場所で環境整備を始めて約3年が経とうとしており、今回はその取り組みの一環として湿地再生を目的としたビオトープ作りに挑戦しました。
場所の歴史と背景
この山は、かつて複数の団体や地域コミュニティが利用し、間伐体験や自然体験、子どもの遊び場として親しまれてきました。
しかし、各団体の活動が継続しなかったことから、間伐された木材や枝木が広場に放置され、遊具もそのまま残されてしまいました。
湿度が高く風通しも悪いことから、蚊も多く、長靴がないと歩けないほどぬかるんだ土地になっていました。
そこで、2022年初頭から環境改善の取り組みを本格的に開始。
草の根を活かす草刈り(風の草刈り)、溝掘り(水脈づくり)、地中の水と空気の流れを促す点穴(てんあな)の作業など、地道な活動を続けた結果、植生が安定し、風通しの良い場所へと少しずつ改善されてきました。
ビオトープを作る
ただ、広場の東側にある斜面変換線の部分は、どうしても湿地状態が改善しませんでした。
そこで、水を抜くのではなく、この土地本来の「湿地」を活かすという考えに切り替え、ビオトープとして整備することにしました。
ビオトープとは、生き物が生息できる自然環境のことを指し、人工的な池を作ることが一般的ですが、今回の私たちのアプローチは違います。
この山全体を一つのビオトープとして捉えられ、自然の生態系や循環機能を回復させることが目標です。
講師の藤井さんも、「山の特性や自然の力に耳を傾けることが大切だ」と強調していました。
実際、昔の人々はこの谷間地形を棚田として活用し、治水機能を持たせていた跡も見られます。
作業の様子
作業はまず、斜面変換線に溝を掘り(水脈づくり)、水の流れを沢へ繋げることから始めました。
湿地が広がる部分を掘り下げ、池のような機能を持たせるための処置を施しました。
泥が流れ込まないよう、焼き杭と枝木を使って柵を作り、土留めも行いました。
水脈にも同様の処置を施し、今後も土で埋まらないようにしました。
こちら↓は斜面変換線の水脈を掘っているところです。
掘ってみると、地中に空気が通っていないためにグライ化した土が出てきて、腐った臭いがしました。
こちら↓が作業開始前の広場の状態です。
こちら↓が作業後です。
今回の作業では一箇所のみの処理が精一杯でしたが、これからも場の状態を観察しながら、同様の作業を進めていく予定です。
自然がどのように答えを返してくれるか、しばらく観察を続け、その結果に基づいて改善を図っていくつもりです。
今後への期待
今回のビオトープ作りは、環境再生に向けた第一歩に過ぎません。
湿地という自然の特性を活かし、長期的な視点で山全体の生態系を回復させていくことを目指していければと思います。
次回以降も引き続き、ビオトープ作りやその他の作業を進めつつ、自然の声に耳を傾けながら、持続可能な環境再生のための取り組みを続けていきます。